クリーンテックVC投資の動向

次なるテーマが短期間に創出されて巨額の投資活動によって未知に挑戦するところが、アメリカのVC投資の特徴であり、面白さでもある。
クリーンテック、ソーシャルメディア関連投資と、グロース・キャピタルの増加が、ここ2年の動きだが、そのクリーンテック分野への投資をグラフにした。VCのクリーンテック投資は投資額全体の1-2%にすぐなかったが、2009年以降の急増で10%を超えるレベルまで達しており、新しい投資業種になっている。言うまでもなく、原油価格の高騰、地球温暖化問題や新技術の登場を受けて2006年から投資が急増したのだが、2010年上期の半年間に約22億ドル(前年比203%増)と日本の年間ベンチャーキャピタル投資額全体(2009年度は875億円)の2倍もの額が投入されている。

ただ、さすがに2010/2Qは大型増資がたまたま集中したのか、7-9月の3Qは6.25億ドル(前年比▲7%減)となった。興味深いのはCorporate Venture Capitalと企業投資が増えていることで、イクスパンション案件に提携した事業会社が乗り込んでいる構図がうかがえる。しかし、何にしろ、1回当たりの調達が平均で軽く1000万ドルを超える訳で、日本でいえばIPO並みの大きさである。

一方、ネットバブルの時期には、VC投資額の70%以上がインターネット関連業種とこぞってネットベンチャーに巨額の投資資金が流れるという過熱状態が起こったが、最近1、2年はインターネット関連業種の投資比率が全体の40%前後まで低下している。そのネット関連業種の多くはソーシャルサービスであり、他のネットベンチャーへの投資は深刻な停滞状態にあるのは間違いない。

(出所)PricewaterhouseCoopers and NVCA, “The MoneyTree Report”、2010年10月。