アップルのロクでもない野郎

1976年、21歳のスティーブ・ジョブズは、レジス・マッケナの紹介でセコイアキャピタルのドン・バレンタイン(当時43歳)に会った。
そこでジョブズに会った後、バレンタインがマッケナに言った言葉が面白い。
"Why did you send me this renegade from the human race?" 
(このロクでもない大バカ野郎をなんで来させたんだ?)


バレンタインは出資には興味はなかったが、昔の同僚のマーク・マークラにその話をした。興味があったマークラは結局25万ドルをアップルに出し(株式8万ドルと貸付17万ドル)、結局アップルの公開時にはマークラはアップルの3分の1の株式を所有し、その時価総額は2億ドルとなった。
セコイアのバレンタインは、その後にアップルに出資して利益を上げたが、最初にジョブズに会った後に投資の検討を進めれば膨大な利益となっただろう。伝説的な成功をおさめているセコイアも、アップルで「チャンスの前髪」を逃がしたのである。
ジョブズ死去の折、22歳年上のバレンタインはあのrenegadeという言葉を思い出したであろうか。
(注:renegadeとは日本人にとって翻訳しにくい英単語。直訳すればキリスト教背信者・裏切り者だから、最大限にあざけった言葉だと思う。)


下の写真は25万ドル分のチェックをジョブズに渡すマーク・マークラ。この記念写真を撮った時、この紙切れが2億ドルになるとマークラは期待しただろうか。