新興株式市場の創始

また妙なテーマでと思われるかもしれないが、新興市場の始まりについてフォトを交えて短く記す。1972年にニューヨークで24名の仲買人が「すずかけ協定」を締結したのがニューヨーク証券取引所(NYSE)の起源というのは知られた話だが、NYSEが主だった企業の株…

アップルのロクでもない野郎

1976年、21歳のスティーブ・ジョブズは、レジス・マッケナの紹介でセコイアキャピタルのドン・バレンタイン(当時43歳)に会った。 そこでジョブズに会った後、バレンタインがマッケナに言った言葉が面白い。 "Why did you send me this renegade from the hu…

スティ−ブ・ジョブズ:先端、反骨、親和、泥臭の奇妙な同居

10月5日の逝去以来、多数の記事が出ているので、ここでは彼の一生に対する私自身の感想を記す。■ジョブズの匂い 言うまでもなく、彼はIT業界で最先端を走り、鋭い風貌、颯爽とした姿という持って生まれた格好良さ、高速回転の頭脳、立板に水の弁舌、こうし…

高校生向け「イノベーションと企業」

高校生向けの模擬授業のために作ったパワーポイント・スライド「イノベーションと企業」です。 大学で何をやるかにポイントを置いて、歴史を照らし合わせて作ったものですが、参考になれば幸いです。 Innovation and Corporation in Our World

アントレを原点から書いてみた

年度末と大震災の余波で途端に忙しくなって、このブログをメンテナンスしないままになっている。 代わりにというのも恥ずかしいが、一冊学生向けにアントレプレナーシップのテキストを書いたので、関心を持たれればご覧頂きたい。 ベンチャー・ウォッチャー…

チャンスの神は前髪しかない:フェイスブックで30億ドルを得た者と逃がした者

未公開企業で史上最大の換算時価、というフェイスブックだが、今月のニュースでは650億ドルに達した。この4月で設立7年の未公開企業がソニーの時価総額(3兆円)を上回るのであるから、騒ぎにならないほうがおかしい。フェイスブックの生い立ちから追ってみ…

「ググられ度」にみるフェイスブック

映画の入りが今一つだったせいで、先週はフェイスブックが日本では流行らないと示唆するようなタッチで記したが、後で少し考えてみた。ブログの良い所は記事をフォローアップできる点である。映画とコラボするように、1月29日号の週刊ダイヤモンド、2月1日号…

日本的なる「ソーシャル・ネットワーク」

映画『ソーシャル・ネットワーク』を観てきた。中身は画面に連続するコンピューターのモニターとキーボード、ハーバード流というようなハイテンポの議論、交渉そして裁判の連続。映画で感じるのは、情熱、アメリカン・ドリーム、純粋、若さ、友情、富、はた…

水に流してはいけない不祥事

年忘れの時期であるが、以下の話題は記録しておくべきなので一文を書く。 今年の国内IPOは22社と昨年の19社に続いて大低迷が続いた。またぞろIPO件数の話題とはうんざり、と感じるかもしれないが、今年はエフオーアイ(6月15日、マザーズ上場廃止)や…

死んだ児の歳を数える

昔の新興市場の株価を整理するなど、死んだ児の歳を数えているなどと注文がつきそうだが、そうは思わずに過去を振り返ってみた。 21世紀の世界の株価指数で最も低迷しているのが東証マザーズ指数である。もとい、・・・だと思う(完全に調査しきっていない)…

アメリカのベンチャーキャピタルの忘年会

このブログでいくつかアメリカVCのテーマを取り上げたが、下記のイベントでは今の市場環境、技術、トレンド、VCのポジショニングが筆者の考えと似ていて我が意を得た感があるので、少し紹介したい。再来週の12月13日から15日にHalf Moon Bay(サンフラン…

スタートアップ勉強会

明日、恵比寿でスタートアップベンチャーの勉強会があるので、前座で話します。参加者は全く知らない人。資料をSlideShareにアップしました。ただ、リサーチ的な成果はなく、アメリカの新しいひな型らしきものを取ってきたものです。 昔からTech Venture等で…

VCを世界の金融市場規模と比較してみると

具体的な数値は多少不正確な部分を残しているが、各種統計から資産残高ベースで市場規模を並べて、それぞれのプレーヤーの世界における「大きさ」を整理してみた。 アメリカのベンチャーキャピタルの運用資産残高はNVCA統計でみると2009年末で1794億ドル、日…

長期的にみた世界のIPO件数

トレンドで世界のIPO件数を追ったものであるが、アメリカ・欧州が2008年から大きく縮んだ分、最近はアジア(中国)のシェアが大きく増加した。言うまでもないが、株式公開はもう中国企業の時代になっており、グローバル監査法人のIPO部隊は中国人会計士ば…

インターネットメジャーの栄枯盛衰

さして目新しい情報ではありませんが、簡単なチャートを作成した。 先週、TechCrunchがYahoo!内の匿名筋の情報として、Yahoo!が人員の20%削減(同社従業員数は1万4000名)を計画していると報道したが、11/12にYahoo!は「誤解を招く恐れがあり不正確」だと反…

ベンチャーキャピタルのパフォーマンスと構造変化

以下のワーキングペーパーをまとめました。 『米国ベンチャーキャピタルのパフォーマンスと構造変化』(Does U.S. Venture Capital Work? : Its investment, return and structure) 小職のサイト、およびSlideShareに掲載しています。 1.はじめに 2.米国…

アマゾンが買収したQuidsi(Diapers.com)のファイナンス

先週末にAmazonが5.4億ドル(約450億円)でQuidsi(Jersey City, NJ)の買収を発表した。同社は2005年創業で、ベビー用品EコマースのDiapers.comや、Soap.com、BeautyBar.comを運営している。Diapers.comは立ち上げから4年で2010年の売上が3億ドルを超す勢いで…

スーパーエンジェルとLean VCの台頭

ネットバブルの時代は、ベンチャーキャピタルの最盛期であり、拡大期であった。その後の不振を経た後、最近はプライベート・エクイティやエンジェル投資家の存在感が増している。PEはレイターステージやメザニンステージの大型増資で重要な投資家になり、エ…

KPCB、SequoiaのVCファンドパフォーマンス

先日、「ベンチャーキャピタルのリターンはなぜ偏るか」について書いた。 これに添えて、優秀とされているVCは具体的にどのようなリターンを上げているかをみてみよう。下表は、カリフォルニア大学が過去3度以上出資したVCファームについて、個々のファンド…

クリーンテックVC投資の動向

次なるテーマが短期間に創出されて巨額の投資活動によって未知に挑戦するところが、アメリカのVC投資の特徴であり、面白さでもある。 クリーンテック、ソーシャルメディア関連投資と、グロース・キャピタルの増加が、ここ2年の動きだが、そのクリーンテック…

昔書いた本・・・

手前味噌な話で恐縮だが、1997年に書いた『ベンチャー 起業と投資の実際知識』(東洋経済新報社)を編集し直して、e-Bookにする予定である。 ・・・といって、昔の経済書を読んでもらえる人がどれだけいるかは全く自信がないので、電子ブックならば自分の手…

ベンチャーキャピタルのリターンはなぜ偏るか?

ともすれば集団の特徴を一つの平均で総べようとするのが人間で、とかくベンチャーとはこういうもの、ファンドとはこうと結論付ける傾向がある。現実の複雑さと多種多様はわかっているにもかかわらず。 ベンチャー投資が「一か八か」と皮肉られるように、我々…

ベンチャー、ベンチャーキャピタルの情報データベース

未公開企業やベンチャーキャピタルに関する情報蓄積やデータベースが必要で、それが業界発展に資するという指摘も出ている。國學院大學の秦信行先生は、「望まれるVC投資データの整備」というコラムを寄稿されている。 確かに、日本ではベンチャー企業、ベン…

日本のベンチャーキャピタル統計・2009年UPDATE

昨日、VECから2009年度データ速報を発表されたので、日本のVC統計データをアップデートします。 基本的な指標で特段のものではありませんが、潮流がわかりやすいかと思います。

ベンチャーキャピタルファンドにIRRは不向き?

職業柄、金融商品のパフォーマンス測定を長年やってきたが、あまり考えもせず慣習的にIRRを使っていた。VCでファンドパフォーマンス測定作業をやったが、どうも問題が多すぎると思っていた。運用が終わったファンドは良いが、運用中で残存資産があるファンド…

世界級ベンチャーの企業リスト:The World's Most Innovative Companies

日経新聞が今朝の朝刊で、「育たぬ世界級ベンチャー」という記事を書いていたので、調べてみました。 以下は、米Fast Company社が今年2月に発表した"The World's Most Innovative Companies 2010"の50社。50社のうち、アメリカ38社、中国4社(5、16、29、42…

Is the Venture Capital Model Broken?

今年の春に、アメリカのVC研究をリードする二人が論文を書いており、"Is the Venture Capital Model Broken?"(ベンチャーキャピタルは機能しなくなったのか?)というテーマで論じている。 Kaplan(シカゴ・ビジネススクール)とLerner(ハーバード・ビジネ…

ベンチャーキャピタリスト「私の履歴書」

1960年代は、アメリカには「ベンチャーキャピタル」という言葉はまだ通用しておらず、"Risk Investment”と呼びすてされることもあった。この時代にハイテク投資に乗り出した第一世代のベンチャーキャピタリスト達は既に90才を過ぎ、世を去った人も少なくない…

新ジャスダックは、企業情報ポータルを充実・振興してほしい

10月12日にジャスダックとヘラクレスが統合して銘柄1005社の新ジャスダック市場が誕生します。 新興株式市場は、不祥事続発で(2000年以降は累計で50社超?)、投資家から全く信頼されてない状況になっているだけに、信頼性向上は言うまでもなく新市場の最大…

今年のベンチャー学会の報告テーマ

11月20日(土)〜21日(日)の2日間、渋谷の國學院大學で日本ベンチャー学会の全国大会が開催予定です。 PRをしているわけではありませんが、最近のアカデミズムがベンチャーをどう研究しているのかを把握するには、(他の学会と同様に)研究報告のテーマ…