新ジャスダックは、企業情報ポータルを充実・振興してほしい
10月12日にジャスダックとヘラクレスが統合して銘柄1005社の新ジャスダック市場が誕生します。
新興株式市場は、不祥事続発で(2000年以降は累計で50社超?)、投資家から全く信頼されてない状況になっているだけに、信頼性向上は言うまでもなく新市場の最大の課題でしょう。
エフオーアイ事件以降、ジャスダック、ヘラクレス合計の売買代金は152億円/日と、とても1000銘柄を越す市場と思えない状況(登録数は多いが売上がない)ですから、「信頼性」と「売買の活性化」の二つを同時に強く追求することが求められていると思います。
本日の日経新聞に出ておりましたが、新市場の活性策の筆頭に「アナリストリポートの作成支援」があげられています。これは漠然とは受け入れられるのですが、具体的には何を支援するのか腑に落ちません。大証が証券会社のアナリストにサービスする?。財務資料、ヒアリング先、関連資料や情報を教えるとか?。よくわかりません。
この新市場に上場している銘柄のアナリストカバレッジ(担当アナリストがいる会社数/上場会社数)は下図のように8.8%(2009/3時点)ですから、そもそもこの市場の銘柄は売買上位の一部の企業を除けば「アナリストはいない」のです。
しかも、新興市場の売買の5〜8割は個人投資家で、機関投資家はほとんど参加しませんから、アナリストの書面レポートを読んで分析して売買する投資家は実質的にはかなり少ない(多くはネット証券の情報サイト経由で読む?)と考えてよい。したがって、今回の活性化策として「アナリストレポートの充実」と言われても疑問に感じるわけです。
むしろ、全国あまねく存在する個人を中心としたIPOアフターマーケットの投資家・投資家候補に対して、銘柄の企業情報を広く知れ渡るようにさせたいのであれば、Company Information Portal(インターネット上の企業情報ポータル)に力を入れるべきだと思います。
現にアメリカはそのものではないでしょうか。例を上げますと、
・未公開ベンチャーの企業情報ポータル(例):CrunchBase→同社で掲載するSkype社情報。
・未公開ベンチャーの株式取引・株価気配値サイト(例):SharesPost→同社で掲載するFacebook(未公開)株価。
・IPO前/IPO後企業の企業情報ポータル(例):IPO Home→Tesla Motors(今年7月上場)の企業情報。
アメリカでも、未公開段階での情報流通と、IPO後の(取引法規制下での)情報流通とを「結びつける」New Liquidity Platformsが必要だという指摘は2003年頃から広がっているようであり、その世論を背景に、もちろん利便性を軸にして上記のような情報ポータルが広がっていって、ビジネスにもなっているのではないかと推察します。既に、上のSharesPostはFacebookやTwitter等の有名未公開ベンチャーの株式売買が成立したとのことで、未公開株流通の一形式として認知された感があります。
日本でも、東京IPOやYahoo! Financeをはじめ、いくつかの関連情報ポータルが活動されていますが、証券市場がうさんくさい情報屋という先入観で対処しているはずはないと思いますが、そういうところとの連携や支援が重要と思います。
どうか、四角四面なアナリストによる情報提供論に拘泥するのみではなく、外部の関係者をまきこんで活用して広範囲にIPO企業をPRし、かつ多種多様な情報を濃密に提供するポータルをも考慮してもらいたいと願います。