長期的にみた世界のIPO件数

トレンドで世界のIPO件数を追ったものであるが、アメリカ・欧州が2008年から大きく縮んだ分、最近はアジア(中国)のシェアが大きく増加した。言うまでもないが、株式公開はもう中国企業の時代になっており、グローバル監査法人IPO部隊は中国人会計士ばかりだという。General Motorsが今夜NYSEに再上場することが決まり、調達額は200億ドル以上と米国史上最大のIPOになる模様だが、これでアメリカのIPOに回復のはずみがつくかどうか。
日本のIPO低迷は、経済用語である「逆選択」がまるで教科書のようにはっきり現れている。投資家は不祥事に懲り懲りで、新興市場に上場している企業はインチキな「レモン」ばかりの状態ではないだろうか。過去に大阪市大・翟林瑜(てきりんゆ)教授が証券アナリストジャーナル(2009年2月号)において『IPOにおける逆V字型経営業績と「幻の初期収益率」』を書かれているので参考になる(注:内容は2009年5月15日の日本経済新聞「経済教室」にも掲載されている)。
同氏は、新興市場の上場企業の質が低い原因を、(1)高い公開価格での新規公開を実現させようと、費用の繰り延べや収益の繰り上げ計上で公開前の経営業績をかさ上げするという「公開前のお化粧」がある。(2)新規公開で調達した資金を寝かせたり、不必要な負債返済や無謀な事業拡大に使ったりする非効率的な資金使途がある。(3)新規公開後、創業者利益を手に入れ、持株比率が小さくなった経営者が経営努力を怠る放漫経営がある。・・・と指摘している。